『トラと三毛』
猫ブームに乗っ取り書いてみた。 僕は今、「動物愛護センター」で働いている。これもその2匹の子猫のことが忘れられなくて、始めたのだ。2匹の子猫とは、僕が小学校1年のときに偶然、公園で拾って来た子猫だった。今でも覚えているけれど、猫たちは段ボールに入れられて、「ミューミュー」と壊れそうな声で泣いていた。もちろん、その声も今でもしっかり覚えている。雨が降り始め、何だか2匹の子猫が可哀想で、可哀想で、どうしようもなくなってしまった。僕も一緒に泣きたくなるくらいだった。そして、とうとう段ボールごと抱えて家に持って帰ったのだ。 当時、僕の住んでいた家は、4 LDK のマンションで、動物を飼うことは禁止されていた。だから、こっそり、そぉ〜っと自分の部屋に持っていった。学校へ行くときは、段ボールを押し入れに入れて、「泣くんじゃないぞ。泣いたらおしまいだぞ」と猫たちに言い聞かせて、家を出た。僕は二匹にそれぞれ名前を付けた。雄のトラ猫は「トラ」。メスの三毛猫の方は「三毛」。全くそのままだけど、その名前が気に入っていた。二匹の餌は、給食で出たソーセージとか、家の台所へそぉ〜っと侵入して冷蔵庫から取って来た小魚や牛乳だった。いつも見ているテレビ番組も見ないで、夕食を食べたら、「今日は宿題がたくさん出てるから、やらなくちゃ!」と言いながら、さっさと自分の部屋へ行った。宿題なんて、もちろん、嘘。僕は、晩のひと時をトラと三毛と過ごしていたのだ。 でも、やっぱり上手く行かなかった。母に見つかってしまった。 「ケンちゃん、うちでは猫は飼えないのよ。元の場所に置いて来なさい。かわいそうだけど、仕方ないじゃないの」と母は言った。 僕は、思いっきり泣いた。大きな声で、「嫌だ!嫌だ!」と言ったけれど、それは無駄だった。最後に父が「捨ててこい!」と、割れんばかりの声を張り上げた。 僕の顔は泣きじゃくってぐちゃぐちゃだった。それでも、仕方なく、段ボールに子猫を入れたまま、公園に置いていくのだった。 「ミュウ、ミュウ、ミュウ、ミュウ、ミュウ、ミュウ、ミュウ・・・」 子猫たちは小さな体を震わせながら、一生懸命に声を出して泣いた。そこへ雨が降り出した。ちょうと僕が子猫たちをこの公園で拾って来た日と同じように。僕は、もうこの子猫たちとどこかへ行ってしまいたいと思っ...